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仕事を辞めた。

 

仕事をしている間は、独りでじぃっと、只管ぼけぇっと一日したかった。

 

毎日、朝出勤前、午後の休み時間にそう夢見た。所謂、不自由な女であり、

 

私は、時間に忙殺されて生きていた。

 

 

 

ついに仕事を辞めて本当に自由な身となった。

 

様々な柵から自由となり、私は床に身を投げ出し、大の字を描き

 

その日、天井を見上げて叫んだ。

 

「やっほ〜!これがスイスとかの大空でなくとも、私、今、幸せ。」と。

 

 

 

次第に日を追い、

 

私は朝、家族を送りだすと雑巾を持ち出し、家をピカピカにし始めた。

 

早朝清清しく、私は隅々まで磨き上げられた部屋でただ独り

 

コーヒーを入れて幸せそうにこっくり頷いた。

 

湯気が、そんな私の気分に乗って台所を漂う。

 

私は満足であった。

 

 

 

段々次第に私は、午後になると暇で退屈な女になってきた。

 

読みたかった本も、ずっとしたかったお昼寝も、色褪せて見えた。

 

私は、そんな私をダルそうに眺めている犬を見ながら思った。

 

あぁ、なんかすることはないか。あぁ、どっかへ行きたい。と。

 

静かな午後は、そんな私を犬と同様、静かに見守っている。

 

 

 

私はついに車に飛び乗り、仕事を探しに出かけた。

 

働きたい。外へ出てなんかしたい。

 

強くそう思った。

 

なんて勝手なのさ。

 

でも、いい。私は今、忙しくて不自由なのではなく、暇で不自由だ。

 

 

 

私のちょっとした、人生の休憩の日々は

 

スイスの山とかではなく、我が家の天井の下で

 

こうして静かに些細に行われた。

 

私は力を得ると、自由が今度は不自由となり、

 

不自由な世界へ再び戻っていく決心をしたのだった。

 

最近の私のできごと。